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生活の落とし穴 4/3

人生はそうそうたやすいものではない。人生の落とし穴とでもいうべき出来事は、日常にひっそりと隠れていて、あるときあなたをばっくりと捕まえて連れ去っていくのだ。

僕は3月から特別な用事が無いとき以外は、朝6時に起きて決まったコースを30分ほどジョギングすることにしている。

ジョギングをする前に、気をつけなければいけないことがある。
ジョギングをする人は必ず知っている。

便を済ませておくことだ。走っている途中にもよおしたときの絶望感といったらない。

しかしながら、朝の6時にそれを意識的に判定するのはそうたやすいことではない。なにしろ僕の体内における消化器官は僕が深い意識の底に沈んでいるときも休むことなくせっせと自らの仕事を進めているからだ。

今日は寝起きのいい朝だった。そんなとき僕はいつもより簡単にストレッチをこなし、ゆっくりと足を交互に前に運ぶ。

あいつがやってきたのは走って5分だった。途中に走り寄る公園に便所があるのでそこによることにしているのだが、何しろ今日は早すぎる。まだ1キロ以上ある。

ラジオ体操が鳴る。人々はその手足を決まった方向へ上げ下げし、徐々にその重みから開放される桜の木々に囲まれながら春を力いっぱい吸い込んでいる。

僕だって解放されたい。その重みから開放されたい。いや、正確に言うと、早く開放しようとするのを僕自身が精一杯押しとどめている。

やれやれ、矛盾している。なんだって朝の6時半からこんな事態に遭遇しなきゃならないんだ。僕はただおいしいビールが飲みたいからせっせと毎日こうして運動しているだけなのだ。

もうだめだ
いや、まだ大丈夫だ

鼻から息を吸い、口から吐く。僕は世界でいちばんタフな26歳にならなきゃならない。途中で投げ出すなんて根性なしのやることだ。

やっとの思いでトイレに駆け込むが、使用中だ。悪いことは重なる。
オーケイ、よくがんばった。もういいじゃないか。
いや、まだあきらめない。車椅子用のトイレがあいていたのでそこに駆け込む。

カギが閉まらない。

もういい。誰が入ってきたってかまわない。連れションということばだってあるくらいだ。来るもの拒まず、去るもの追わず、だ。好きにすればいい。僕だって好きにさせてもらう。

途中でおじさんが入ってきた。
「っ!」
閉めて去っていった。



すっきりした面持ちでドアを開けた。
目の前にはまだまっさらな一日が拡がっている。誰もここで壮絶なドラマが繰り広げられていたなんて知る由も無い。

オーケイ。いこうじゃないか。曇りのち晴れ、それでいい。

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というわけで大変な朝でした。
村上春樹風、朝の大惨事。

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この記事に対するコメント

無題

お疲れ様です(・∀・)ゞ(笑)★

【2008/04/07 22:00】 #9b11f4915c()[編集]

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